(なおみ)
NAOMI(ナオミ)はセガが開発したアーケードゲーム基板である。
同社の家庭用ゲーム機・ドリームキャストの基板と互換性がある。本基板は矢木博が開発した。
基板の命名者は当時セガの副社長を務めていた鈴木久司であり、同社製アーケードゲーム基板「MODEL3」に続くファイナルモデル、スーパーモデルという意味合いから、当時ファッション界のスーパーモデルであったナオミ・キャンベルにあやかってつけられた。
公式にはあくまでも“New Arcade Operation Machine Idea”の略とされているが、発表会の前日に決まった後付けの名前であることが公式サイトの裏話として書かれていたことがある。
NAOMIの「O」は発表当時ドリームキャストのロゴと同様の渦巻きマークでありドリームキャスト互換をほのめかすものであったが、海外のショーに出展した際、単なる渦巻きマークとして認識されNA-MIと読まれるケースが多発、急遽シンプルなオレンジ色の「O」に改められた。
MODEL3に続く、セガアーケードゲームの主力基板。ドリームキャストとのアーキテクチャの共用からくる量産効果により、旧来のアーケードゲーム基板をはるかにしのぐグラフィック処理能力と低コストを両立させた。コストパフォーマンスの改善を目指しており、描画性能は後発のSEGAHIKARUには劣る。アーケード用と家庭用との相互の移植, 並行開発が比較的容易であり、アーケード用と家庭用間で連動を行うタイトルも一部見受けられた。業界初の新JAMMA規格(JVS)の基板としても知られている。リリース最初期の作品ではMODEL3電源を流用しメタルケースに基板が格納される等従来のMODEL世代に倣った設計になっていたが、その後の筐体はドリームキャストのデザイン感を踏襲したものに変更された。
本基板は様々な拡張キットに対応しており、デフォルトで使用できるROMはROMボード(交換をし易くするために差し込み型になっている為、実際には同社が過去に発売した基板、ST-Vでも採用されていたROMカートリッジ方式に近い)であるが、専用のDIMMボードとGDドライブを追加することによりGD-ROMも使用可能。スパイクアウトなど一部作品に関してはサウンドカードなどの増設も可能であり、前述の連動のためにビジュアルメモリリーダーを追加することも可能である。
メインボードは最大4枚をスタック接続し処理性能を上げることも可能となっており、F355チャレンジ(2)、エアラインパイロッツ、セガ・ストライクファイター等、マルチモニタ機種に採用されている。
後続のNAOMI 2はNAOMIの後継機種に当る。DIMMボードとGD-ROMはNAOMIと同じものが使用でき、ほぼデフォルトとなっている。また上位互換性もありNAOMI用のソフトも動作する。グラフィック機能は、NAOMIにおいてはSH-4で行っていたジオメトリ演算を別途専用チップとして実装しハードウェア化することにより、NAOMIの300万ポリゴン/秒から1,000万ポリゴン/秒に増強されており、環境マッピング機能についても負荷軽減が施されている。さらにNAOMIと同じグラフィックチップをもう1つ追加し計2つ搭載することでレンダリング能力も増強している。
キッズカードゲーム、メダルゲームなどでは、DIMMボードとGDドライブによって拡張されていた機能を1枚の基板に統合したSYSTEMSPが存在する。この統合の際GDドライブはコンパクトフラッシュに、DIMMボードのDIMMはフラッシュROMに置き換えられ、ネットワーク機能もオンボードとなった。I/O面ではJVS非対応となり代わりにパラレルI/Oの増強とサウンドアンプの追加が行われている。SYSTEMSPは甲虫王者ムシキングの後期ロットより採用されていた。
NAOMI GD-ROM SYSTEMは2007年の『のーコネパズル たころん』を最後に採用タイトルが登場しなくなり、それ以降はROMボードがメインに戻っている。これは、GD-ROMディスクの生産ラインとドライブのメンテナンスが終了したことに加え、半導体価格の大幅な低下といった要素等によるものであると言われる。またこの頃から従来のカートリッジとは互換性のない512Mbit (64MB)フラッシュROMを搭載したタイトルも登場し、GD-ROMに迫る容量(512MB)を高速アクセスが可能なカートリッジ式で実現することが可能になった(新しいBIOS ROMに交換することで旧基板でも使用可能)。主に海外での補修用途として、NAOMI2以降のGD-ROMタイトルをコンパクトフラッシュに置き換えるCF-BOXと呼ばれるアップデートキットも存在する。
1998年に登場して以来、2009年まで現役のシステムボードとして活躍、新作の開発がされていた基板で、アーキテクチャを流用したATOMISWAVEの登場後もNAOMIを採用し続けたメーカーが少なくない。また、一度ATOMISWAVEに変更になったのち、NAOMIに戻ってきたシリーズも一部存在する。
最終バージョンのNAOMI2はセガが独自にシステムアーキテクチャから設計した最後のアーケード基板となっており、以降はXbox互換のChihiroなどの他社の家庭用ハードがベースの基板や、LinuxやWindows OSベースのLINDBERGHといったパソコン(PC)のアーキテクチャをベースとした基板にシフトしていくことになる。
部品調達難に伴い、修理サポートは一部のSYSTEMSP使用タイトル以外、2017年3月31日を以って終了した。
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年以降
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
以下は全てメダルゲームで、全て◎(専用筐体が必要)。