(あずみ)
『あずみ』は、小山ゆうによる日本の漫画。長編のアクション時代劇として高い評価を受け、映画や舞台化もされている。
『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて1994年から2008年にかけて連載され、「第1部・完」となった。単行本は全48巻(小学館ビッグコミックス)。引き続いて、幕末を舞台にした続編『AZUMI』が同誌にて2014年まで連載された。
江戸幕府初期、泰平の世を作り上げるため、内乱の芽を摘む暗殺集団の一人として「爺」(小幡月斎)に育てられた少女・あずみの戦いと苦悩を描く。戦国から泰平の世へと移りゆく中で必要とされなくなった武人たちの不満にスポットが当てられており、過渡期ゆえの社会不安が物語のベースとなっている。
作者の小山によれば続編『AZUMI』で舞台を幕末に移したのは、この時代の有名人をあずみが殺し尽くしてしまったことが理由の一つで、一方幕末にはあずみの標的になりそうなのがウジャウジャいるのでそっちに移したという。また「第1部・完」と未完で終わらせた件について後年『漫道コバヤシ』に客演した説明では、これ以上連載を続けても「今後の大きな舞台は島原の乱ぐらいしかなく、それでは年齢が30歳を越えてしまい新鮮さに欠けてしまう」こと。あずみの結末を想像した場合「大量殺戮してきたあずみが、平穏な幸福で終わる結末は考えられない。だとしたら、いずれは幕府に殺処分される絶望的な未来しかない」ため、そこまで描くのは読者も望まないだろうと考え、あえて中途で終わらせたと答えている。
1997年度第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞のほか、1998年には第43回(平成9年度)小学館漫画賞青年一般部門を受賞した。
上戸彩の主演で映画化(2003年、2005年)、黒木メイサの主演で舞台化(2005年初演)された。2015年には続編『AZUMI』が『AZUMI 幕末編』として舞台化された。